2015年7月12日(日)ふじの自然学校「水脈整備講座」~草刈りで空気がひんやりさわやか~

長雨が止んだと思ったら、いきなり真夏が来てしまったこの日。最近は少数精鋭での実施が多かった水脈整備ですが、この暑い最中、スタッフ、参加者合わせて約20人が終結しました。参加者全員がフィールドに到着した頃、矢野さんは既に、相模川に抜けるコンクリートの側溝を覆った草を刈り始めていました。草を刈って、沢の出口となるこの場所に空気を通すことが水脈整備の要です。
高速道路高架下のここは、水脈整備前には土砂が堆積し、ドブの匂いがしていた場所。以前の状態を知っている人には、もっとも環境改善が実感できる場所です。矢野さんは、沢の流れがコンクリートのU字溝に接続する手前の部分で自然のやり方に習った水脈整備の方法を解説。ここでは、矢野さんの言う「横方向の蛇行と縦方向の蛇行」で水の勢いを受け止め、土砂の流出を防いでいます。川の流れに対し、丸太を斜めに設置して水の勢いを受け止めつつ蛇行させ、その下流部には深い穴を掘って、穴の中で水を回転させるというやり方です。「里山整備は昔と比べると、数倍大変な作業になっています。自然の力を再生しないで、人だけでやろうとしても焼け石に水です」と矢野さん。やはり一度人が壊した環境というのは、継続的なメンテナンスが必要になってきます。せっかく水がきれいになり、土砂の流出の減ったこの場所も、放っておくと元通りになってしまうでしょう。でも、自然の再生を促す整備をしていることで、次第に植物も育つようになり、自然が力を貸してくれるようになってきています。

ひと通り、現場を見ながらの説明が終わり、水脈整備の実習。堆積した土砂を掃除し、沢の周辺の草を矢野さん流「風の草刈」で刈りながら、フィールドまで沢を登って行きました。土砂の掃除もいつも通り、自然の川の流れに沿ったやり方です。掃除を終え、いつもの広場に登ってきましたが、いつもと空気が違い、ひどい蒸し暑さです。何だか空気が淀んだ感じがして「ここで昼飯~?」というブーイング?も聞こえます。ここで矢野マジック。「空気がじっとりしているのは水脈周りの草刈が足りないからです」と、草刈機による草刈の実演です。15~20分ほどかけて、谷筋に沿って草を地際まで刈っていきました。すると、あら不思議。ひんやりとして気持のよい風が流れてくるではありませんか。
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生い茂った草で地際に滞っていた空気が、谷の地形に沿って草を刈ることで大気圧に押されて動きます。この空気が谷風の本流につながると、風に引っ張られて更に空気が動き出すそうです。こうして、フィールド全体に爽やかな涼しい空気が流れてきました。「水が流れているのと同じように空気が流れている」という矢野さんの言葉が実感できました。
体全体も空気の通った心地よさを感じますが、矢野さんによれば「景観」も風通し、水通しを見る大事なバロメーターになります。「景観が視覚に訴えてる。体もそれを感じていて、気持いいなと感じるんです」。草刈をしている部分だけを見るのではなく、遠くから全体の景観を見ることも大事です。

午後は、草刈班と水脈班に分かれ、草刈と水脈整備を更に上流まで進めて行きました。どんな風に水を流せばいいのか、どこまで草を刈ればいいのかなど、頭で理解できても、実践すると難しい水脈整備ですが、だんだんとコツがつかめてきた参加者もいたようです。
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参加者がそれぞれ自分で決めた場所を整備していたのですが、終わる頃には、フィールドに爽やかな空気が流れていました。大勢集まれば、簡単な整備で劇的に環境が変わるんですね。
講座終了後、居残りしてくださった矢野さんと参加者数名で、田んぼ周りの水路を整備しました。5月末に種もみを播いた田んぼですが、草の勢いに押され、せっかく発芽した稲が大分消えてしまいました。残った稲もひょろひょろで、元気がありません。矢野さんによれば、「空気が足りない」ためで、稲は呼吸が出来ず、そういう場所でも育つ雑草ばかりが繁茂しているそうです。これでは幾ら草を刈ってもイタチごっこなので、空気を送り込む必要があるとのこと。そこで、土砂と草で詰まっていた田んぼ周りの溝を掘り直し、水と空気を送り込みました。さて、稲たちは元気になってくれるでしょうか。
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