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8/26~27 ふじの自然学校報告~里山の道作りの巻~

 今回の自然学校は、いつもの関野のフィールドではなく、藤野の秘境、綱子にある石毛さん宅のお山での開催となりました。テーマは「里山の道づくり」。石毛さんのお家は、裏山の付いた素敵な古民家。いつも、きらめ樹間伐で使わせて頂いている山です。その山に石毛さんが自作されたツリーハウスまでの道作りをしました。
初日は座学。ヤンバルの話を中心に矢野理論を学びます。矢野さんが日本列島見聞の旅をしていた約30年前に「本当に見事だな」と思ったというヤンバルの原生林は、コンクリートで固める開発の結果、すっかり劣化してしまい、魚介類も10分の1以下に減少。山から海までの一セットがコンパクトなヤンバルを見たことで、矢野さんは水脈の痛みが環境全体に影響を及ぼしていること、そして、この問題が日本列島全体の問題だということに気付かされたそうです。
 もはや打つ手はないのでしょうか・・・。しかし、いつでも前向きな矢野さんは、「コンクリートを壊さずに土壌や植物を変えることはそんなに大変ではないんです」と頼もしいお言葉。コンクリートの周辺や上の部分から、空気を通してやるだけで、プラスの連鎖が始まり、それは「すごいマジック」だそうです。
 とは言え、これ以上自然を痛めつければ取り返しのつかないことになりそうです。質疑応答の時間には、この地域も影響を受けるリニアモーターカーの開発についての質問も出ましたが、矢野さんはリニアのための大規模な開発が水脈を痛めないはずがないと考えています。一度立ち止まって考えてほしいものです。
 この日は地元自治会から3人のネイティブ綱子人が参加して下さいました。綱子に生まれ育った7~80代の方々で、昔と今の綱子を比べ、「水量が極端に少なくなりました」「昔と全く違うのは、雨が降ると即水が出て、止むとすぐに止まってしまうことです」と、皆さん環境の変化を感じておられ、講座を聞いて納得されるところがあったようです。
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 2日目は道づくり。その前に周辺を見て回り、この地域で何が起こっているかをチェックしていきました。石毛さん宅のすぐ近くの谷川には、ガケが崩れてしまった箇所があります。矢野さんは、川がカーブする場所にあった田んぼをスギ林にしてしまったことが要因ではないかと推測しています。増水した時でも田んぼを越えて緩やかに流れていた川の水が、スギの杭に妨げられて岸を削るようになり、やがてガケを崩してしまったのです。地形に合った土地の利用をしないと大変なことになるんですね。
 
 続いて移植ゴテを使い、舗装道路の脇を掃除していきました。道路を作るために削られた斜面には雨滴を受けて崩れた跡があり、僅かしか植物が生えていません。斜面と道路の境界部分には、斜面の上から流出した土や石、枝葉が溜まっています。ここから移植ゴテで泥を取り除き、枝葉は軽く重ね置いて空気が通るようにしていきました。この作業により、斜面の下に詰まっていた空気が抜けて植物が生えるようになり、その植物の根が張って更に空気通しが良くなる「自然の連鎖」が始まるとのことですが、こんな簡単な作業で本当にそんな変化が生まれるのでしょうか?
 半信半疑でしたが、道を更に下ったところに、斜面の下から上まで植物がたくさん生えた場所が出現しました。昨秋、矢野さんの指導で、同じ作業をした箇所だそうです。比べてみると一目瞭然!
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植物の根がしっかり張ると、泥の流出を抑えてくれます。泥水が流れなくなると、凍結もしにくくなるので、例年道路が凍結していたこの箇所も昨年は凍らなかったそうです。ただし、全部の箇所を同じようにきれいにすればよいというわけではありません。澱みは澱みで大事にしなければならないそうです。どこの場所からたくさん水や土石が出て、どこで侵食が進んでいるのか、地形を読んで、その地形が作る表情を全部壊してしまわないように作業をします。

 道沿いの掃除の後、舗装道路から山道に入っていきました。山の中はスギの植林地です。沢からはすっかり水が枯れてしまっており、その沢の真ん中にスギが植えられています。こういう場所に植えられたスギの根は、やはり空気や水の流れを閉ざし、沢をつぶしてしまうのです。矢野さんは拡大造林の時期にスギやヒノキが地形を無視して植林されたことも水枯れの要因の一つだと考えています。空気と水の流れが滞ると、斜面の上方にまで影響が出てきます。特に斜面の角度の変わるラインには、空気と水が滞りやすいので影響が出やすく、この山でもアジサイの木々がたくさん枯れている箇所がありました。

 周辺環境のチェックを終え、いよいよ今回のメインテーマの道作りです。道を作る前に、まず斜面下部の石垣の下の草を刈り、溝を掘っていきました。土圧がかかった斜面の最下部は、本来空気の抜ける部分です。ここに空気が通るようになれば、降ってきた雨水が地面に吸い込まれますが、空気が詰まってしまうと、雨水が土の中に浸透できず、泥をはじき飛ばしてしまいます。ホースの先端を抑えた時に水道の蛇口部分がはじけるように、斜面でも上の方ほど影響が出やすくなり、侵食が進みます。矢野さんの「自然は相似形」という言葉通り、先程の道路脇の斜面で見たのと同じことが起きるのです。
 次いで、斜面の急な箇所に階段を設置していきます。階段を切った箇所には、土留め用の横木として端材を置きます。端材の両脇に杭を打つ際には、杭を平行ではなく、互い違いに打ち付けます。
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ねじれの構造を作ることで力をかわすそうです。端材と土の間には刈った草を組み込んでいきます。自然界は流線型で出来ているので、道作りでもその形状を真似ると安定します。角材を使う場合は角を削り、階段は平らにせず、カマボコ型にすることで水が溜まらないようにします。
地元自治会の3名の方は、昨日の座学に引き続き、今日の作業にも参加して下さいました。参加者の若者や働き盛りの大人たちが、何をしてよいのか分からずにオロオロしている間に率先して手を動かし、年季の入った見事なハンマー打ちや、針金巻きを披露。
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若者達の数倍の働きをみせてくれると共に、その技を伝授してくれていました。
初めはどこから手をつけてよいか分からなかった参加者の間にも、角材の角を削る人、針金を巻く人、草を詰めていく人と、次第に役割分担が出来上がり、効率的に作業が進んできました。矢野さんによれば、こういった作業は「お神輿をかつぐようなもの」で、先頭に立つ人だけでは出来ません。それぞれは小さな作業でも、皆で支えあうことで成立するのです。
階段を設置した所にはセメントの粉をふりかけていきました。セメントを使うと植物の根を痛めてしまう面もあるのですが、大勢の人が利用するような道では、踏まれることで更に痛みが激しくなるので、それを避けるため適度な量を使います。

ツリーハウスに道が到達したところで、今日の作業は一区切り。感想をシェアする中で、ネイティブ綱子人のお一人が「息子も出て行って戻ってこないし、先祖から譲り受けた山や畑が、これから先どうなっていくのかと考えると不安です。これから先、生き残る術を一緒に考えていきたい」とお話して下さったのが印象的でした。「無言の自然と向き合っていくと、答えは返ってきます。生業になる仕事もきっと生み出せると思います」と矢野さんが答えていましたが、綱子本来の自然環境が再生すれば、きっと人を呼び寄せる魅力に溢れた土地になるでしょう。
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